本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。
物語の時間:展示会の五週間前、月曜の朝 8 時 40 分
真夜中のメール
阿哲がメールを開きます。ドイツ Velostrada の購買担当 Jonas から、台湾時間の午前三時に届いたものです。
Hi A-Zhe, we are planning next year's range. Could you send me your latest catalogue? Including the cassettes you make for our house brand.
来年のラインナップを検討中なので、自社ブランド向けに作ってもらっているカセットも含めて最新カタログがほしい、という内容です。
Velostrada には自社ブランドがあり、ネットショップで売っている 11 速カセットとチェーンは、実は鼎立が作っています。
阿哲の手元にあるカタログは、三年前にデザイン会社が作った PDF です。
書類ミニ講座|カタログ:売り手が、販売できる製品の仕様と写真をまとめて買い手に見せる資料です。買い手はこれを見て、どれを問い合わせるかを決め、他社と比べます。カタログが古いと、買い手は古い仕様のまま問い合わせてくるので、最初の一歩から話がかみ合わなくなります。
カセットは去年ギア比を変えましたし、チェーンは梱包を変えました。仕様は阿美の Excel の中。写真は去年の展示会の前に撮ったもので、置いてあるのは……
「阿美、去年撮ったカセットの写真ってどこ?」
「共有フォルダだよ。」
「どの?」
「……日付が書いてあるやつ。」

ちょっとした皮肉ですが、この二つの製品のいちばん新しく、いちばん揃った写真と仕様は、なんと顧客のサイトにありました。
以前のやり方
阿哲が LINE で阿美に Excel を頼みます。阿美は二つ送ってきて、ひとこと添えます。「たぶん二つ目。でも価格は更新してない。」
写真は共有フォルダの中です。ファイル名は IMG_3021.jpg から IMG_3188.jpg まで。一枚ずつ開いて、どの型番かを見分けていきます。
そこから道は二つです。Word で「暫定カタログ」を自分で組むなら、午後いっぱい。デザイン会社に改版を頼むなら、二週間とデザイン料。どちらを選んでも、次のお客さんからカタログを頼まれれば、また同じことの繰り返しです。
さらに厄介なのは、今回まとめたデータもすぐにまた散らばることです。来月仕様が変われば、Excel にはまた「最新_本当に最新」が一つ増えます。
Patisco でのやり方
今回、阿哲はカタログを組みません。データをまとめて Patisco に取り込みます。そうすれば「どれが最新なのか」という問題はもう起きません。一つしかないのですから。
どこからデータを集めるかは、その製品が誰のものかで決まります。
顧客ブランド向けの製品:そのサイトから直接集める。
Velostrada のネットショップには、プロのカメラマンが撮った写真と英語の仕様が、ギア比ごと、色ごとに揃っています。阿哲が自分でサイトを回って一枚ずつ画像を保存する必要はありません。URL を Patisco に伝えれば、Patisco がバックエンドで鼎立の代わりに収集して、アカウントに届けてくれます。
阿哲は〔製品管理〕で〔インポート〕を押し、〔ブランドサイトから取り込み(Patisco が収集)〕を選んで、このデータを選びます。

- 項目の対応はあらかじめ済んでいて、サイト上の販売価格は「希望小売価格」に入ります。初期設定ではこの数字が鼎立の基準価格にも入るのですが、阿哲はそのチェックを外しました。サイトの販売価格は Velostrada がサイクリストに売る価格で、鼎立が Velostrada に売る価格ではないからです。鼎立自身の価格は、次回設定します。
- サイト上のギア比や色は仕様タグになり、同じモデルの異なる仕様は一つの製品グループにまとまります。
- 写真も製品と一緒に入ってきます。
鼎立自身の製品:阿美の Excel をそのまま放り込む。
〔Excel ファイルからインポート〕を選びます。阿美の列名や順番を変える必要はありません。システムが見出しを見て自動で対応づけてくれるので、「推測です。確認してください」と出たところだけ目を通せば大丈夫です。写真を Excel に直接貼っている行もありますが、写真はその行と一緒に読み込まれます。
どちらの場合も、インポート前にその場で直せる。
〈確認と修正〉が問題を示してくれます。製品名がない行、単価はあるのに通貨がない行、同じ品番が二回書かれている箇所。すでに登録済みの品番は、まとめてスキップできます。

阿美がちらっと見て言います。「DL-CS-11S が二回? ああ、去年手で足したやつだ。」一行消して、先に進みます。
インポートは一件ごとに結果が出るので、失敗した分だけ送り直せば済みます。
古い PDF しか残っていない製品:普段お使いの AI ツールに整理してもらう。
〔他の AI で整理(カタログ PDF・写真)〕を選び、〔AI への指示をコピー〕を押します。その指示を三年前のカタログ PDF と一緒に普段お使いの AI ツールに渡し、返ってきた答えを貼り戻します。原文と読み取り結果が左右に並び、あとは同じように確認してインポートします。
別にある写真の束:ファイル名を品番にすれば、自動で収まる。
展示会で撮った写真は、ファイル名を DL-CR-170.jpg、DL-CR-170#2.jpg のように品番に変えて、〔書類の共有〕の Product Photos にアップロードします。システムが該当する製品に紐づけ、一枚目が表紙になります。あとから登録した製品にも、自動で補われます。
最後に、AI に部位と用途の分類を手伝ってもらう。
インポート完了の画面には〔AI に部位と用途を分類させる〕というボタンがあります。AI が製品名、仕様、説明を読んで提案します。どの部位か、完成品か補修部品か、どんな客層に向くか。今回の五種類のチェーンは、どれも部位「ドライブトレイン」、用途「補修部品」と判定されました。

阿哲が内容を見て、案内に従って返信して確認すると、そこで初めてタグが付きます。間違っていたら、AI に取り消したいと伝え、もう一度「削除」と返信すれば、付けたばかりのタグがまとめて元に戻ります。
「じゃあ AI が勝手にいじったりはしないの?」と阿美。
「提案するだけ。決めるのは俺。」
以前 vs Patisco なら
| 以前 | Patisco なら | |
|---|---|---|
| データの出どころ | Excel 二つ、古い PDF 一つ、大量の IMG_xxxx.jpg | 同じものに顧客のサイトが加わる。先に形式を整えなくていい |
| ずっと聞かれ続ける人 | 阿美(「どれが最新?」) | いない。システムには一つしかない |
| 写真の照合 | 一枚ずつ開いて見分ける | ファイル名が品番なら自動で紐づく |
| ミスに気づくタイミング | お客さんに「この価格、通貨は何ですか?」と聞かれたとき | インポート前に示される |
| 次のお客さんがカタログをほしがったら | もう一度整理する | そのまま共有する(次回) |
社長へのひとこと:製品データが特定の社員のパソコンの中だけにある状態ではなくなります。誰が休んでも、誰が辞めても、データは会社に残ります。
