本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。
物語の時間:同じ日の昼、12 時 15 分
二通のメール、一つのカセット
阿哲が弁当のふたを開けたとたん、メールが二通届きました。
アメリカ Northwind の Dana から。「What's your best price for the 11-speed cassette, 11-32T? 500 pcs.」
ドイツ Velostrada の Jonas から。「Same item, please quote. Usual terms.」
どちらも同じカセット、DL-CS-11S です。Velostrada は代理店で、量が多く、付き合いも長い。Northwind はチャネルで、量はやや少なめ。東京の自転車店は、店頭の補充分の量を買います。三社の価格は当然違います。
阿哲が共有フォルダを開くと、ファイルが三つありました。
価格表_2025.xlsx価格表_2025_改.xlsx価格表_2025_改_林社長確認済.xlsx
阿哲は目を閉じて、深呼吸しました。
以前のやり方
去年、一度やらかしています。阿哲が Jonas に送った価格表は、実は自転車店向けの列でした。Jonas の返信はたった一行。
Interesting. So this is the price you give to shops?
なるほど、お店にはこの価格なんですね、というわけです。
あのメールのことは、阿哲は今でも覚えています。

以前のやり方はこうでした。一つの Excel にすべての価格を入れておき、見積のたびに列を選んでコピー&ペーストし、PDF で別名保存して送ります。お客さんが増えれば列が増え、製品の価格が変われば全バージョンを直さなければなりません。一か所直し忘れれば、それが次の「Interesting」です。
隣の席で、阿美が引き出しから干し梅を一粒取り出し、そっと口に入れました。阿哲は気づいていません。
Patisco でのやり方
ステップ1:価格カテゴリを一度で決める。
〔取引設定〕の〔価格カテゴリ設定〕で、鼎立は三つのカテゴリを作りました。代理店価格、チャネル価格、ショップ価格です。代理店価格を基準にして、残りの二つは計算式で出します。チャネル価格は基準の 8% 増し、ショップ価格は 15% 増しです。

これからは基準価格を変えたら、〔計算式で商品価格を再計算…〕を押して〔すべて計算式で上書き〕を選べば、ほかのカテゴリも再計算されます。プレビューで確認してから書き込まれます。(これを選ばない場合、システムはまだ入っていない価格だけを埋め、すでにある価格には触りません。)
ステップ2:同じカテゴリに、数量の段階をいくつも持てる。
Dana は 500 個、Jonas はふだん一度に 1,000 個です。同じ「チャネル価格」の中に、100 個ならこの価格、500 個ならこの価格、と段階を自由に足せます。
ステップ3:誰にどの価格を見せるかは、取引条件に任せる。
顧客ごとに取引条件を一組ひもづけます。通貨、貿易条件、どの価格を見せるか、〔端数処理の方法〕、〔在庫数を確認できます〕。Jonas に見えるのは代理店価格だけ。東京の自転車店に見えるのはショップ価格で、通貨は日本円です。
書類ミニ講座|価格表と取引条件:価格表は、買い手に各品目がいくらかを伝えるものです。取引条件は、その価格の前提を示します。どの通貨で、どこで引き渡し、どう支払うのか。たとえば「FOB 高雄」は、売り手が貨物を高雄港で船に載せるまでを担当し、その先の海上運賃と保険は買い手が負担するという意味です。同じ数字でも、取引条件が違えば双方の実際のコストは大きく変わることがあります。だから価格は、必ず取引条件と一緒に見ます。

これで「違う列を送ってしまう」という事故は起きなくなりました。阿哲がより慎重になったからではありません。Jonas の画面には、もともと自分の価格しかないからです。
ステップ4:顧客を招待するか、専用カタログを渡す。
お客さんが招待を承認すると、ログインするだけで鼎立が共有したカタログを見られます。価格はそのお客さんの取引条件に沿って表示されます。Velostrada ブランド向けに作っている数モデルは、「Velostrada 専用」カタログにまとめて、Velostrada にだけ見せることもできます。

午後二時、阿哲は二通の返信を送りました。Dana と Jonas はそれぞれカタログを開き、それぞれ別の価格を目にします。
通りかかった秀琴さんが画面をちらっと見ました。「これなら、これからは見積書のときに、どのバージョンなのか聞かなくてよさそうね?」
「理論上は。」と阿哲。
「理論上?」
「実際どうなるかは、次回わかります。」
以前 vs Patisco なら
| 以前 | Patisco なら | |
|---|---|---|
| 価格の置き場所 | Excel が一つ、バージョンが三つ | 製品に付いた価格カテゴリ、一つだけ |
| 価格の変更 | 全バージョンを手で直す | 基準価格を変え、〔すべて計算式で上書き〕で再計算。先にプレビュー |
| お客さんへの見せ方 | 列を選び、PDF で別名保存して送る | お客さんがカタログにログインすると、自分の価格だけが自動で見える |
| ミスが起きやすいところ | 違う列を送る | 画面に他社の価格がないので、送り間違えようがない |
社長へのひとこと:価格方針は一度決めれば、営業はそのまま使えます。見積を出す人が変わったせいで、同じお客さんに違う価格が出るということがなくなります。
