本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。
物語の時間:2 週間後、ドイツ・ハンブルク、午前 10:00(台湾は午後 5:00)
会議室
Velostrada の会議室は倉庫の 2 階にあり、窓の外には棚がずらりと並んでいます。Jonas がとても濃いコーヒーを 2 杯いれてくれました。林社長は礼儀正しくひと口飲んでから、持参したティーバッグにこっそり目をやります。
挨拶は 5 分。Jonas はすぐ本題に入りました。
「PI-0411、チェーンはいつ出せますか? うちの春のセールが前倒しになったんです」
「それから、来年の EU の新しい包装規則。そちらの包装は準備できていますか? 上司に毎日聞かれていまして」
「最後にもう 1 つ」。Jonas がスマホをこちらに滑らせました。画面には別のサプライヤーの見積もりが出ています。「ここがまた声をかけてきたんです」
以前のやり方
以前の海外訪問で何より怖かったのが、こういう会議です。
納期は?「Let me check with my factory.」そして夜ホテルに戻り、台湾の朝を待って阿美(アーメイ)に LINE で連絡。阿美が宏泰に電話して、回答できるのは翌日です。会議室で答えをもらえなかったお客さんは、帰って別の会社に電話します。
林社長の話では、会社を継いだばかりのころは、リュックにカタログと価格表を詰めてヨーロッパの自転車店を 1 軒ずつ回ったそうです。聞かれてわかることはその場で答え、わからないことは台湾に戻ってから FAX する。「FAX が届くころには、とっくに別の会社に発注されてたよ」
Patisco でのやり方
納期:会議室にいながら聞ける
阿哲(アージャー)は「持ち帰って調べます」とは言いませんでした。スマホで PI-0411 を開き、この書類のディスカッションで阿美に社内メッセージを送ります。
「阿美さん、Jonas さんがチェーンは最短でいつ出せるかって。向こうのセールが前倒しになったそうです」
台湾は午後 5 時で、阿美はまだオフィスにいます。先週の宏泰からの納期回答を確認して、3 分後に返事が来ました。「宏泰は月末なら大丈夫と言っています。もっと早めるなら、今から張さんに電話して聞いてみます」

Jonas が阿哲のスマホをのぞき込みます。「Your colleague answered in three minutes?」
「She's in Taiwan. It's 5 p.m. there」と阿哲。「We have everything about your order in one place. Anyone in our team can see it.」
納期の変更:スマホで決める
Jonas は自分のノートパソコンで PI-0411 を開き、出荷日を 1 週間早めて送信しました。
阿哲のスマホに差分画面が出ます。違うのは出荷日の 1 か所だけ。阿美の返事によれば、月末は大丈夫、1 週間早めるなら確認が必要です。阿哲はすぐには応じず、まずディスカッションで阿美に、宏泰への確認を頼みました。30 分後に阿美から返事が来ます。「大丈夫です。張さんが、生産に組み込めるそうです」
阿哲はスマホで〔適用して送信〕を押しました。会議が終わる前に、納期が決まりました。

スマホ版は、あえてシンプルに作っています。書類を見る、返信する、決める。差分を 1 項目ずつ処理したり新しい書類を作ったりするのは、パソコンに戻ってからです。それでもお客さんの会議室では、この 3 つこそがいちばん大事なのです。
包装規則:まず、把握していると伝える
包装の質問は、林社長が引き取りました。
「新しい包装規則は追いかけています。どの製品を変える必要があるか、どんな書類が要るか、整理してお渡しします」
阿哲はスマホから、Email での返信で会議の要点を Jonas に送りました。メールは Patisco から送られ、PI-0411 の同じスレッドに残ります。台湾の同僚も、このスレッドを開けば読めます。

本音
会議の終わりに、Jonas はさっき滑らせたスマホを手元に戻しました。
「正直に言うと」と Jonas。「あの会社は去年、2 回欠品を出したんです。上司は価格しか見ませんが、怒られるのは私なので」
少し間を置いて、続けました。「今日の質問に、そちらは一度も let me check と言いませんでしたね」
林社長が笑いました。「若いころは、しょっちゅう言っていましたよ」
以前 vs Patisco
| 以前 | Patisco なら | |
|---|---|---|
| お客さんに納期を聞かれたら | ホテルで台湾の始業を待ち、回答は翌日 | 書類のディスカッションで同僚に聞き、その場で回答 |
| お客さんが納期を変えたら | メール返信、電話、Word の修正 | スマホで差分を見て〔適用して送信〕 |
| 議事録 | 台湾に戻ってからメールにまとめる | 会議中に Email で返信し、同じスレッドに残す |
| 台湾の同僚 | 会議で何が話されたか知らない | その書類を開けばわかる |
社長へのひとこと:海外訪問でいちばん高くつくのは航空券ではありません。「持ち帰って調べます」のひと言です。
この回の背景:EU の包装・包装廃棄物規則(PPWR)が順次適用されていきます。ヨーロッパ向けの包装は早めの準備が必要です。説明とチェックツールをまとめてあります:PPWR の説明、EU チェックツール、貿易タイムライン。
貿易の瞬間 #12|永錩から値上げの話台湾に戻った最初の日。林社長がまだ時差ぼけでいると、電話が鳴りました。鹿港、永錩の陳マネージャーです。「社長、ちょっとお話ししておきたいことがありまして」30 秒聞いたところで、林社長は湯のみを置きました。