貿易の瞬間 #12|永錩から値上げの話

貿易の瞬間 #12|永錩から値上げの話
本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。

物語の時間:台湾に戻って 3 日目、彰化・鹿港、午後 2:00

鹿港

永錩精密鍛造は鹿港の工業団地にあります。工場の鍛造機がドスン、ドスンと響き、応接室の湯のみまで一緒に震えています。

陳マネージャーは古い付き合いです。お茶をいれてから、アルミ地金の価格推移のグラフを阿美(アーメイ)の前に滑らせました。

「阿美さん、ちょっとこれを見てください。3 か月で 2 割近く上がったんです。クランクは来月から 6% 値上げさせてください」

グラフを見ながら、阿美は展示会で若い営業がふと口にしたひと言を思い出しました。「来年はアルミが上がりますよ」。ノートに書いたあのびっくりマークは、このことだったのです。

横にいる阿哲(アージャー)は黙っています。頭の中にあるのは、ただ 1 つの問いでした。鍛造クランク DL-CR-170 は、今、誰に見積もって、誰に売っていて、いくらなのか?

以前のやり方

以前なら、この問いには会社に戻らないと答えられませんでした。

阿哲が Excel の見積もり記録をめくり、阿美が発注書をめくり、秀琴さんが出荷書類をめくる。3 人が午後いっぱいかけて、1 枚の表をつなぎ合わせます。どのお客さんがクランクを買ったことがあるか、どの見積もりがまだ有効か、どの注文が未出荷か。

できあがっても、もっと難しいことが残っています。お客さんに値上げをどう伝えるか。どこで吸収し、どこに転嫁するか。応接室で陳マネージャーと調整した条件(「すでに出した注文は旧価格、値上げは来月から」)は、阿美の記憶の中にしかありません。3 か月後に揉めたとき、あのときどう話したのか、誰もはっきり言えないのです。

Patisco でのやり方

まず調べる:この品番はどの書類に載っているか

阿哲は会社に戻るのを待ちませんでした。ノートパソコンで〔見積書〕を開き、検索項目で〔商品番号〕を選んで、DL-CR-170 と入力します。

出てきたのは、まだ有効期限内の見積書が 1 件。アメリカの Dana 宛て、クランク 120 組です。その行を開くと、品目、数量、単価がすべて見えます。

見積書一覧を商品番号で検索し、品目を展開した画面
この品番はどの書類に載っているのか。〔商品番号〕で検索して展開すれば、数量と単価が見えます。

続いて〔プロフォーマインボイス(PI)〕と〔注文書(PO)〕でも、同じ品番で検索します。Velostrada の PI-0411 にクランクは入っていません。ひと安心です。鼎立から永錩への発注書は、まだ 1 件未出荷があります。

5 分で、表ができあがりました。

次に調整する:条件を書き残す

阿美は陳マネージャーと 30 分話し合いました。すでに出した発注書は旧価格で出荷。来月以降の新しい注文から 6% の値上げ。鼎立が 3 か月分をまとめて発注するなら、値上げは 4%。

話し合いが終わるとすぐ、阿美はその発注書のディスカッションに社内メッセージを書きました。3 つの条件をはっきり記し、「陳マネージャーが当日、鹿港で口頭同意」と添えます。あとで永錩から新しい見積もりが届いたら、この 3 条件と照らし合わせればいいのです。

発注書のディスカッションの社内メッセージ
サプライヤーと決めた条件は、その場で発注書のディスカッションに書き残します。

「前は全部ノートに書いてたんです」と阿美。「ノートはなくすことがあるけど、これはなくなりません」

最後に:鼎立自身の価格も動かすか

会社に戻って話を聞いた林社長は、お茶をひと口飲みました。「Dana のあの見積もりは、うちで吸収しよう。ほかのお客さんのディストリビューター価格は、DL-CR-170 を 3% 上げる」

阿哲は製品 DL-CR-170 を開き、基準となるディストリビューター価格を 3% 引き上げました。流通向け価格と自転車店向け価格は、ディストリビューター価格から計算式で出しています。製品一覧でこの品目にチェックを入れ、〔計算式で価格を再計算…〕を押して〔すべて計算式で上書き〕を選択。プレビューで問題がないのを確かめてから書き込みます。最後にカタログで〔変更をアップロード〕を押すと、お客さんに見える価格が更新されます。

〔計算式で価格を再計算…〕のプレビュー
再計算の前にプレビュー。現在の価格、計算後の価格、今回変わるかどうかが一覧で出て、確認してから書き込みます。

原価はどこに書いておくのか? 製品には〔内部メモ〕という欄があり、鼎立の社内からしか見えません。阿哲はそこにひと言書きました。「永錩 来月から +6%(3 か月分まとめて発注で +4%)」

ご注意:サプライヤーが値上げしても、Patisco が販売価格を自動で調整することはありません。製品に、販売価格と連動する「仕入価格」の欄はないのです。上げるかどうか、いくら上げるかを決めるのは人。システムは、決まった価格を一度に計算して、各価格区分に反映します。

以前 vs Patisco

以前Patisco なら
この部品を誰に売ったか3 人が 3 種類のファイルをめくって午後いっぱい書類一覧を品番で検索して 5 分
サプライヤーと決めた条件阿美の記憶とノートの中その発注書のディスカッションに記載
自社の販売価格の調整3 種類の価格をそれぞれ手で修正基準価格を変えれば、他の区分は計算式で再計算
原価の記録先別の Excel製品の〔内部メモ〕。社内からしか見えない
社長へのひとこと:値上げを誰が吸収し、誰に転嫁するかを決めるのは社長です。ただ、決める前に知っておく必要があります。この部品が今、どの書類に載っているのかを。

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