本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。
物語の時間:台湾に戻って 3 日目、彰化・鹿港、午後 2:00
鹿港
永錩精密鍛造は鹿港の工業団地にあります。工場の鍛造機がドスン、ドスンと響き、応接室の湯のみまで一緒に震えています。
陳マネージャーは古い付き合いです。お茶をいれてから、アルミ地金の価格推移のグラフを阿美(アーメイ)の前に滑らせました。
「阿美さん、ちょっとこれを見てください。3 か月で 2 割近く上がったんです。クランクは来月から 6% 値上げさせてください」
グラフを見ながら、阿美は展示会で若い営業がふと口にしたひと言を思い出しました。「来年はアルミが上がりますよ」。ノートに書いたあのびっくりマークは、このことだったのです。
横にいる阿哲(アージャー)は黙っています。頭の中にあるのは、ただ 1 つの問いでした。鍛造クランク DL-CR-170 は、今、誰に見積もって、誰に売っていて、いくらなのか?
以前のやり方
以前なら、この問いには会社に戻らないと答えられませんでした。
阿哲が Excel の見積もり記録をめくり、阿美が発注書をめくり、秀琴さんが出荷書類をめくる。3 人が午後いっぱいかけて、1 枚の表をつなぎ合わせます。どのお客さんがクランクを買ったことがあるか、どの見積もりがまだ有効か、どの注文が未出荷か。
できあがっても、もっと難しいことが残っています。お客さんに値上げをどう伝えるか。どこで吸収し、どこに転嫁するか。応接室で陳マネージャーと調整した条件(「すでに出した注文は旧価格、値上げは来月から」)は、阿美の記憶の中にしかありません。3 か月後に揉めたとき、あのときどう話したのか、誰もはっきり言えないのです。
Patisco でのやり方
まず調べる:この品番はどの書類に載っているか
阿哲は会社に戻るのを待ちませんでした。ノートパソコンで〔見積書〕を開き、検索項目で〔商品番号〕を選んで、DL-CR-170 と入力します。
出てきたのは、まだ有効期限内の見積書が 1 件。アメリカの Dana 宛て、クランク 120 組です。その行を開くと、品目、数量、単価がすべて見えます。

続いて〔プロフォーマインボイス(PI)〕と〔注文書(PO)〕でも、同じ品番で検索します。Velostrada の PI-0411 にクランクは入っていません。ひと安心です。鼎立から永錩への発注書は、まだ 1 件未出荷があります。
5 分で、表ができあがりました。
次に調整する:条件を書き残す
阿美は陳マネージャーと 30 分話し合いました。すでに出した発注書は旧価格で出荷。来月以降の新しい注文から 6% の値上げ。鼎立が 3 か月分をまとめて発注するなら、値上げは 4%。
話し合いが終わるとすぐ、阿美はその発注書のディスカッションに社内メッセージを書きました。3 つの条件をはっきり記し、「陳マネージャーが当日、鹿港で口頭同意」と添えます。あとで永錩から新しい見積もりが届いたら、この 3 条件と照らし合わせればいいのです。

「前は全部ノートに書いてたんです」と阿美。「ノートはなくすことがあるけど、これはなくなりません」
最後に:鼎立自身の価格も動かすか
会社に戻って話を聞いた林社長は、お茶をひと口飲みました。「Dana のあの見積もりは、うちで吸収しよう。ほかのお客さんのディストリビューター価格は、DL-CR-170 を 3% 上げる」
阿哲は製品 DL-CR-170 を開き、基準となるディストリビューター価格を 3% 引き上げました。流通向け価格と自転車店向け価格は、ディストリビューター価格から計算式で出しています。製品一覧でこの品目にチェックを入れ、〔計算式で価格を再計算…〕を押して〔すべて計算式で上書き〕を選択。プレビューで問題がないのを確かめてから書き込みます。最後にカタログで〔変更をアップロード〕を押すと、お客さんに見える価格が更新されます。

原価はどこに書いておくのか? 製品には〔内部メモ〕という欄があり、鼎立の社内からしか見えません。阿哲はそこにひと言書きました。「永錩 来月から +6%(3 か月分まとめて発注で +4%)」
ご注意:サプライヤーが値上げしても、Patisco が販売価格を自動で調整することはありません。製品に、販売価格と連動する「仕入価格」の欄はないのです。上げるかどうか、いくら上げるかを決めるのは人。システムは、決まった価格を一度に計算して、各価格区分に反映します。
以前 vs Patisco
| 以前 | Patisco なら | |
|---|---|---|
| この部品を誰に売ったか | 3 人が 3 種類のファイルをめくって午後いっぱい | 書類一覧を品番で検索して 5 分 |
| サプライヤーと決めた条件 | 阿美の記憶とノートの中 | その発注書のディスカッションに記載 |
| 自社の販売価格の調整 | 3 種類の価格をそれぞれ手で修正 | 基準価格を変えれば、他の区分は計算式で再計算 |
| 原価の記録先 | 別の Excel | 製品の〔内部メモ〕。社内からしか見えない |
社長へのひとこと:値上げを誰が吸収し、誰に転嫁するかを決めるのは社長です。ただ、決める前に知っておく必要があります。この部品が今、どの書類に載っているのかを。
