貿易の瞬間 #20|阿美の産休:引き継ぎがゼロからにならない

貿易の瞬間 #20|阿美の産休:引き継ぎがゼロからにならない
本シリーズは Patisco のデモアカウント「鼎立」を使っています。掲載している画面とデータはすべてシステム上で実際に操作して生まれたもので、買い手とサプライヤーのやり取りも含め、作り物の画面ではありません。人物と会話は演出で、イラストはイメージです。画面はシステムの中国語表示のものですが、Patisco は日本語でもご利用いただけます。

物語の時間:阿美の休暇前最後の週、水曜の午後

1冊のノート

阿美(アーメイ)は3か月の産休に入ります。手元には未完了の発注書が9枚、サプライヤーのグループが14個、そして表紙がすり切れて白くなったノートが1冊。

「引き継ぎの書類、作りますね」と阿美。

林社長は首を振りました。「まだ書かなくていい。先に、もう書かなくて済むものがどれか見てみよう」

以前のやり方

以前の引き継ぎといえば、Word の書類1本でした。

阿美は3晩かけて、頭の中のことを書き出していたはずです。どのサプライヤーの営業が誰か、どの注文の納期がいつか、誰とどんな条件を調整したか。どれだけ丁寧に書いても、書ききれません。いちばん大事なのはたいてい「あの時なぜそう決めたのか」で、それは本人の記憶と LINE の中にしかないからです。

休みに入って2週目には、きっと同僚から電話がかかってきます。「阿美さん、すみません、宏泰のあの注文なんですけど……」

後を引き受ける人は、ゼロから始めるのと同じことになります。

Patisco でのやり方

まず確認:もう会社にあるもの

林社長、阿美、阿哲(アージャー)の3人で座り、1つずつ見ていきます。

ディスカッション一覧の〔取引先別〕で宏泰チェーンを選んだ画面。Email、LINE、Patisco の経路が表示されたスレッドが並ぶ
このサプライヤーに関わるスレッドが、すべてここに並びます。

阿美は見終えて、少し信じられない様子でした。「じゃあ私が書くのは……張さんの好きなお茶だけ?」

「それはやっぱり書いてくれ」と林社長。

次に補う:まだ会社に入っていないもの

もちろん、何もかもが自動でそこにあるわけではありません。3人は、休みに入る前に済ませることをリストにしました。

1. ディスカッションに入れていないメール:阿美は〔Email 受信トレイ〕で「振り分け待ち」のメールを、1通ずつ対応するディスカッションに入れます。入れていないメールは本人にしか見えず、管理者にも見えません。

2. 阿哲を自分のディスカッションに追加:進行中のディスカッションすべてに、阿哲を参加者として追加します。追加されれば、阿哲はそのスレッドのそれまでのメッセージをすべて見られます。

3. 窓口の付け替え:管理者が〔アカウント・権限管理〕で、宏泰や永錩といった売り手側の窓口を阿哲に付け替えます。一般社員には自分が窓口になっている取引先しか見えないので、これをしないと阿哲には見えないサプライヤーが出てきます。

4. サプライヤーにひとこと:各グループで「休みの間は阿哲にお願いします」と伝えます。グループはそのまま残り、記録もそのまま会社に入り続けます。

5. これから届くメール:休みの間に阿美のメールアドレスに届くメールは、ほかの人には見えません。そこで、よくやり取りするサプライヤーには、今後のメールを阿哲宛てにしてもらうよう頼みます。

〔アカウント・権限管理〕で社員を選び、〔売り手側の窓口〕を指定する画面
サプライヤーの窓口を引き継ぐ同僚に付け替えると、その同僚がこの取引先を見られるようになります。

この5つは、午後のうちに片づきました。3晩かけて Word を書く必要はありません。

ノート

最後に、阿美はあのノートを阿哲に渡しました。

「これ、あげる。中にちょっと……システムにないことが書いてあるから」

阿哲が最初のページを開くと、こう書いてありました。「張さん:烏龍茶、無糖。陳マネージャー:お茶は飲まない、コーヒー、砂糖2袋。永錩の応接室:エアコンがすごく寒い、上着を忘れずに」

阿哲は笑いました。「これは確かに、システムにないな」

以前 vs Patisco

以前Patisco なら
引き継ぎ書類3晩かけて Word を1本午後のうちにリストを片づける
書類と変更の記録引き継ぎ書類に書く(覚えていれば)システムの中に、全部の版がある
サプライヤーと調整したこと本人の記憶と LINE の中書類のディスカッションに書いてあり、グループには記録係がいる
休みの間同僚から電話が何度もかかる後を引き受けた人がその書類を開く
社長へのひとこと:人は休みますし、離れることもあります。それは当たり前のことです。経験が会社に残っていれば、引き継ぎがゼロからになりません。
次回貿易の瞬間 #21|新人の最初の1週間阿美が休みに入って最初の月曜、林社長が若者を1人連れて事務所に入ってきました。除隊したばかりで、坊主頭。パーカーの上にスーツのジャケットを羽織っています。「こちら、小宇(シャオユー)だ」と林社長。「阿哲、面倒を見てやってくれ」次回を読む →
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